くるくる日和

色々なことをくるくると紡いでいきます。

どうして世の中には、思いつきで指示を出し、気が変わったら違うことを言い出す社長がいるのか

さてさて、今回は困った社長さんのお話です。
色々な経営者と話していると、中小企業に多いのがこのタイプですね。

 

その場の思いつきで物事を決める。決めたは良いが、気が変わると正反対のことを言い始める。
そして現場は疲弊するだけ...。

 

どうしてそういう社長がいるのか。
どうしてそういう社長になってしまったのか。

 

これには色々な要因があると思うんですね。
ですが、往々にして「一人である程度成功しちゃったから」が主な理由だったりします。

 

そういう社長さんはある意味、それなりに能力のある人です。
一人で起業し、いまや50人ほどの従業員を抱えていたり、幾つかヒット商品を生み出していたり、親から受け継いだ会社の売上を短期間で倍増させていたり。
だから、ある意味仕方がないと言えば仕方がないのかも知れません。

 

極端な言い方をすると、そこ(会社)が社長の作った「世界」であり、「作品」だから。
自分が作った「世界」では、自分がルールとなりますし、自分が作った「作品」であれば自分の感性、感覚が最優先されます。

 

また、そういう社長さんて嗅覚が良かったりするんですね。
話していても独りよがりなことばかり言うなぁ、と思っていたら、ふいにキレのあることを言ってきたりします。
以前に、僕がフランチャイズチェーンのスーパーバイザーをやっていたときなんですけれど、加盟店のオーナーさんに、現状に対しての改善点を伝えていたんですね。
でも、向こうは聞いているのか聞いていないのか、良く分からず、次第に暖簾に腕押しみたいな感覚になっていました。
そんなときにふいにその社長さんが「けいみずさん、さっき提案してもらったやつなんだけど、面白そうなんで、取り入れようかなって、ちょっといま考えてたんだけど、コレコレこういう問題点がなくはない?」と言ってきました。
そのご意見が結構急な角度から内角をエグるようなカーブみたいなご意見で、あー確かに、そういう問題点があるなぁ、気づかなかったなぁ、と感心したのを覚えています。

その社長さんもロジカルに分析したわけじゃなくて、提案を取り入れよう、と思ったときに違和感を感じて、その違和感が何かっていうのを考えていると問題点に気づいたっていうことらしかっです。

 

そう、そういう社長さんって、ロジカルに物事を動かすタイプではないんですね。感覚的に物事を動かすタイプがほとんどです。

 

でも、感覚というものは当然コロコロと変わります。
例えば車を運転しているとしましょう。
平坦な道と登り坂、あるいは下り坂では感じ方が違いますよね。だから、ブレーキを踏んだり、アクセルを踏んで調整します。
カーブによっても同様ですね。ブレーキ踏んでハンドル操作をして、アクセルを踏んで、という一連の操作が感覚によってなされます。
また、この「登り坂」、「下り坂」、「カーブ」は呼び方ではそれぞれ一括りにできますが、登り坂の中でも様々な角度がありますし、そこにカーブが加わるものもあります。
高速道路なのか一般道なのかによっても、出しているスピードが異なるので、感じ方が違います。

 

そして当然、人によっても感じ方が違います。
同じ下り坂でも、慎重になる人もいれば、スピードを緩めずに下っていく人もいます。

 

思いつき発言の社長さんは、言ってみれば、自分の運転感覚を他人にも強要しているのと同じなんですね。


決して同乗しているわけではない。


自分が先頭を走り、自分と同じスピードで自分と同じようなハンドル捌き、自分と同じアクセルとブレーキの使い方を、他の人にも強いているのです。
それに周りは振り回されているだけなんです。

 

他人の運転に合わせることほど疲れることはないですし、またとても危険です。

 

それに対してロジカルシンキングで物事を動かす社長さんの会社は、きちんと設計されたレールの上を走る列車にみんなで乗っています。
もちろんレールを設計する人、運転する人、車掌さん、列車に乗らず司令室にいる人、と役割分担はありますが、みんなで一つの列車を動かしています。

 

レールが敷かれている以上、言うことがコロコロと変わらないですし、軌道修正もさせやすい。
軸があるからブレないんですね。

 

思いつき社長さんは、軌道修正の方法も、ナビにも頼らずに、あっちに行ったり、こっちに行ったりするので迷走しやすい。
気がつくととんでもないところにたどり着いていたりもします。

 

ある程度自分だけで成功した経験がある分、自分に対して絶対的な自信があるんですね。だから、他人の意見はおろか、ナビすらにも頼らない。
そう、自信がありすぎるが故に、他人の意見を見下して聞いてしまう。あるいは、見下さないまでも不信感、不安を感じてしまうんです。
他人の意見で成功した経験がないから。

 

さて、そういう社長さんがロジカル社長さんに変わることはあるのか。

 

恐らく余程のことがない限りないでしょう。
人ってなかなか変われませんから。

 

で、そんな社長さんについて行けずに部下の入れ替わりが激しかったとしても、そういう社長さんはやはり感覚が優れてるので、なんだかんだ自分だけで売上を維持、あるいは増益させてしまうんですね。
それがまた自信に繋がって、ますます他人の意見なんかに耳を貸さなくなっていく。

 

そんな社長さんに必要なのは「番頭さん」だと常々思っています。
番頭さん的な立場がいたことで反映した企業で言うと、ホンダやパナソニックが有名ですよね。
どれだけ嗅覚や感覚が優れている社長さんでも、絶対に限界があります。
その限界を突破するのがロジカルに社長を諭すことができる番頭さんです。

 

前に何かで読んだのですが、潜水艦の副艦長の役割というのは、艦長の意見を否定することらしいんですね。
何しろあんな密閉された空間で、ちょっとした事故でもすぐに沈没の危険がある潜水艦ですから、一人の判断だと危険らしいんです。
それで「艦長の意見はそれでも正しいですか?」と改めて確認させるために副艦長は敢えて否定をするらしいんですね。

 

思いつき社長さんには、まさにそういった「あなたはそれでも自分が正しいですか?」と言える番頭さんが必要だと思います。


そこが上手く噛み合うと、ホンダやパナソニックのようになっていくのでしようね。

 

ではでは、また。